フィルター紹介「ビール製造における濾過の役割」

2025-02-04

※ページ内の画像はイメージです

 

アルコール飲料の主役「ビール」がどのように製造されているのか、またそこで弊社製品をはじめとするフィルターの機能、”濾過”が、どのような役割を果たしているのか紹介します。

 

 


 

ビール製造工程の概要

1.原料

麦芽、ホップ、水、副原料を準備(粉砕)する。

 

 

 

 

 

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2.仕込

:原料を熱と麦芽がもつ酵素で糖化し、固形物を濾過して麦汁(あめ湯)を作る。その後ホップを加える。
 最後に煮沸してホップの風味を引き出してから、冷却しつつ凝集物を沈殿、除去する。

 

 

 

 

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3.発酵(主発酵/前発酵)

酵母を加えて発酵させ、若ビールを作る。

 (麦汁、若ビール等、各段階のビール製品はブライトビアタンクに貯蔵される)

 

 

 

 

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4.熟成(後発酵)

:貯酒を行うことで香りを調整し、炭酸ガスを作り出す(溶け込ませる)

 

 

 

 

 

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5.濾過

:煮沸して、またはフィルターで濾過して、酵母を取り除く。
 カートリッジフィルター、珪藻土フィルター、遠心分離機などが使用される。
 酵母を取り除くための煮沸をしていないものを、生ビールと呼ぶ。

(← 弊社カートリッジフィルター製品はここで使用できます!)

 


 

 

 

 

 

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6.パッケージング

:瓶、缶、樽などの容器に充填する。

 

 

 

 

 

 

。○〇こうして作られたビール製品が私たちのもとへ届けられているのですね!

 

 


 

ビール製造工程における濾過の役割

仕込み過程の濾過(麦汁濾過)

麦汁と麦芽かすを分離するための濾過。

ロイター式( 大きなざるのような濾過器)、フィルタープレス式など。
余計な成分が染み出さないよう、負荷をかけず自然に時間をかけて濾過する。

麦汁からホップかすを分離するための濾過。

ワールプールタンクでの沈殿濾過。

 

熟成(後発酵)後の濾過

酵母・その他微生物の除去。(消費期限を確保するため)

清澄剤の除去。(清澄剤は主にチルヘイズ/寒冷混濁防止の為、タンクに投入される)

上記を目的に、遠心分離器、珪藻土濾過機、カートリッジフィルター(マイクロフィルター)などを組み合わせて濾過を行う。

 

。○〇ビール製品では濾過の工程がこんなにあるのですね!

 

(おわり)

 

 


 

用語解説

麦芽

大麦を発芽させ、でんぷんとたんぱく質を分解する酵素(アミラーゼとプロアテーゼ)を作らせたもの。アミラーゼはでんぷんを糖に、プロテアーゼはたんぱく質をアミノ酸に分解する働きをもつ。

 

ワールプール

円筒形のタンク。内部で麦汁を回転させ、タンク底中央に沈殿物を集める。

 

酵母

英語で「イースト」と呼ばれる微生物。この酵母がでんぷんから分解されたぶどう糖を食べてアルコール(エタノール)と炭酸ガスを作る働きを「発酵」と呼ぶ。
酵母の生命活動維持には、タンパク質から分解されたアミノ酸も必要とする。また生きている限り発酵が進むため、貯蔵時やパッケージング後に残っていると風味が変化していってしまう。そのため、製品として完成後には、火入れを行うか、フィルターに通すことで、酵母を除去する必要がある。

 

若ビール

主発酵を終えた直後のビール。味も香りも未熟で、商品となるには熟成(貯酒/後発酵)での調整が必要。

 

清澄剤(貯酒時に使用するもの)

アイシングラス(電荷作用により酵母の凝集・沈殿を促す)、PVPP(チルヘイズの原因となるポリフェノールを吸着して沈殿させる)、シリカゲル(チルヘイズの原因となるたんぱく質を吸着して沈殿させる)など。貯酒時に混ぜ、後に濾過して取り除く。

 

チルヘイズ/寒冷混濁

温度をきっかけとする濁り。ビールが0℃に冷却されると形成され、20℃に昇温すると消える。原因はたんぱく質とポリフェノールであり、そのどちらかを取り除くことで対策することができる。ただしポリフェノールを取り除くと風味が変わってしまうともいわれる。

 

ブライトビアタンク

BBT、Bright Beer Tanks、円筒形圧力タンク、給仕タンク、ビール最終調整タンク、ビール貯蔵タンクとも。完成したビールを貯蔵するタンクを指していることが多いが、麦汁や若ビールを一時貯蔵するタンクを指している例もある。